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機知なき故に法を見る

世の中の出来事が法律的にどうなっているのかを考えるブログです。

米軍オスプレイの不時着事故を受けて考える米軍の民事的責任

行政法・国賠法

 平成28年12月13日、米軍オスプレイ沖縄本島の東の海上で墜落するという事故がありました。

  この事故を受けて、在沖縄米海兵隊のトップが、沖縄県副知事に「パイロットは住宅、住民に被害を与えなかった。感謝されるべきだ」と述べたと報道されています。

お前が言うな

確かに、パイロットに関しては「よくやった」と評価していい面があると思います。

しかし、沖縄米軍トップが沖縄あるいは日本の国民はパイロットに「感謝すべき」との発言をしたのであれば、違和感があります。

  「そもそもの原因はお前らだろ」

おそらく、違和感の正体はここにあります。

 

米軍機事故の民事的責任

さて、前置きが長くなりましたが、オスプレイの墜落事故を受けて、この事故によって住宅・住民に被害が生じた場合、だれが責任を負うのか知っていますか。

私は知らなかったので調べてみました。

民事特別法

関連する法律は次の名称の法律。名前長いよ。

日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う民事特別法」

以下、略して民事特別法といいますが、その第1条には、次の通り規定されています。

【民事特別法第一条 】

日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約〔昭和三五年六月条約第六号〕に基き日本国内にあるアメリカ合衆国の陸軍、海軍又は空軍(以下「合衆国軍隊」という。)の構成員又は被用者が、その職務を行うについて日本国内において違法に他人に損害を加えたときは、国の公務員又は被用者がその職務を行うについて違法に他人に損害を加えた場合の例により、国がその損害を賠償する責に任ずる。

 

日本が責任主体

長いのでどこを見ればいいのかよくわからないと思いますが、要は最後の部に書いてある「国がその損害を賠償する責に任ずる」という部分。

ここでいう「国」というのは「日本」のことですから、オスプレイが事故により住民や住宅に被害を与えた場合、「日本」が住民・住宅の被害を賠償する責任を負うということになります。

冒頭発言の真意?

冒頭に戻り、「パイロットは住宅、住民に被害を与えなかった。感謝されるべきだ」との発言。

住宅、住民に被害が出ると、誰かが、賠償しなければいけないのは当然。

ただ、民事特別法上、賠償の責任者は日本。

「日本よ、感謝しろよ。賠償責任発生しないぞ」

なるほど、冒頭の発言は、そういう趣旨の発言だとすると理解できますね(嫌味)。