読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

機知なき故に法を見る

世の中の出来事が法律的にどうなっているのかを考えるブログです。

ギャンブル依存症対策法案

いわゆるカジノ法案の成立を受けて、ギャンブル依存症対策をどうするのかというのが喫緊の課題となっています。

 

小西洋之参議院議員のギャンブル依存対策作基本法

民進党小西洋之参議院議員が、ギャンブル依存症対策基本法と題する法案を立案しています。

いまさら遅きに失するのでは、との批判もあるようですが、現にギャンブル依存症対策を目的とする法律がない状態においては、こうした立案を行い、発表すること自体には意義があるといえます。

 

法案の内容は?

そこで、法案の内容についてみてみましたが、ギャンブル依存の方を支援するという方針はよいものの、その具体策は極めてあいまいです。

法案では、同4条では、国は、前条の基本理念にのっとり国は、ギャンブル依存症対策を総合的に定し、及び実施する責務有すると定めていますが、国が定めるべきギャンブル依存症対策への具体的言及はありません。

基本法という性質上、依存症対策ガイドラインみたいなものが規定されないといのは理解できるところですが、こここそがギャンブル依存症対策の中核になるはずですから、この点に触れられていないのはさみしい限りです。

 どうせなら依存症対策として考えられる具体的な対策を示してほしい。野党なんだから、思い切ってだせよと

具体性に欠ける

 同法案の内容は、ぶっちゃけた話、国や地方自治体、医師などがギャンブル依存症対策についてちゃんと取り組むべきだよね、という理念を示したものにすぎず、具体性に欠けています。

ギャンブル依存症の認定を誰がするのか、

認定に際して、本人の意思は不要なのか、

本人の意思に反する措置入院のような対応がとれるのか

こうした点が示されていない以上、具体性に欠けると評価せざるをえません。

ギャンブル依存症よくないよね、国、自治体で対策に取り組もうね、医師も協力してね、なんてことは誰でもいえるわけです。

少なくとも、パターナリスティックに依存症対策を行えるのか、はっきり示しいところ。

 

 

蓮舫氏に対する公正証書原本不実記載罪としての告訴について

 

平成28年12月15日、民進党の代表である蓮舫氏の「二重国籍」(日本国籍・台湾国籍)問題で、東京都の男性が、次の理由により、公正証書原本不実記載等未遂の罪で告発状を提出したと報道されています。

 ・外国籍を喪失していないにもかかわらず、虚偽の申し立てをして戸籍簿に不実の記録をさせようとした

・台湾籍を喪失した事実がないにもかかわらず、外国籍の証明と誤信させる書面を添付し「外国国籍喪失届」を提出し戸籍簿に不実の記録をさせようとした

 

公正証書原本不実記載罪

さて、あまり耳慣れない犯罪だと思いますが、この公正証書原本不実記載の罪というのはどういった犯罪なのでしょうか

刑法 157条1項 

公務員に対し虚偽の申立てをして,登記簿,戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ,又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 

 

公正証書原本不実記載罪の罪の要件

客観的な要件

上記条文からは、戸籍に関する公正証書原本不実記載罪の客観的な成立要件はつぎのとおりとなります

① 公務員に対して虚偽の申し立てをしたこと

② 戸籍簿に不実の記載をさせた

今回は、未遂罪の告訴ということなので、②の要件は不要で、客観的な要件に関して言えば、蓮舫氏の犯罪の成否は、①の要件が満たされるか否かによるという事になります。

 虚偽の申し立てとは

 公正証書原本不実記載罪の成立要件は以上のとおりですから、本件では、蓮舫氏が、台湾籍を喪失した事実がないにもかかわらず、「外国籍の喪失の)証明と誤信させる書面を添付」して「外国国籍喪失届」を提出した行為が、「虚偽の申し立て」に当たるか否かが問題となります。

そして、蓮舫氏が、国籍の選択も台湾籍の喪失もしていなければ(報道上はその可能性の方が高そう)、外国国籍喪失届の提出自体が「虚偽の申し立て」ともいえそうです。

  

外国籍の証明と誤診させる書面

ただ、一つひっかかるのは、添付されたと報道されている「外国籍の証明と誤信させる書面」。

これが「外国籍の喪失の証明と誤信させる書面」という証明であれば意味は分かりやすいのですが、これが文字通り「外国籍があることの証明」であれば、この部分は虚偽ではないということになります。

 そして、この添付資料の内容次第では、蓮舫氏の申し立ては、全体としては、戸籍担当者を誤信させるようなものではない(虚偽性がない)との判断結果もあり得るところだと思われます。

米軍オスプレイの不時着事故を受けて考える米軍の民事的責任

 平成28年12月13日、米軍オスプレイ沖縄本島の東の海上で墜落するという事故がありました。

  この事故を受けて、在沖縄米海兵隊のトップが、沖縄県副知事に「パイロットは住宅、住民に被害を与えなかった。感謝されるべきだ」と述べたと報道されています。

お前が言うな

確かに、パイロットに関しては「よくやった」と評価していい面があると思います。

しかし、沖縄米軍トップが沖縄あるいは日本の国民はパイロットに「感謝すべき」との発言をしたのであれば、違和感があります。

  「そもそもの原因はお前らだろ」

おそらく、違和感の正体はここにあります。

 

米軍機事故の民事的責任

さて、前置きが長くなりましたが、オスプレイの墜落事故を受けて、この事故によって住宅・住民に被害が生じた場合、だれが責任を負うのか知っていますか。

私は知らなかったので調べてみました。

民事特別法

関連する法律は次の名称の法律。名前長いよ。

日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う民事特別法」

以下、略して民事特別法といいますが、その第1条には、次の通り規定されています。

【民事特別法第一条 】

日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約〔昭和三五年六月条約第六号〕に基き日本国内にあるアメリカ合衆国の陸軍、海軍又は空軍(以下「合衆国軍隊」という。)の構成員又は被用者が、その職務を行うについて日本国内において違法に他人に損害を加えたときは、国の公務員又は被用者がその職務を行うについて違法に他人に損害を加えた場合の例により、国がその損害を賠償する責に任ずる。

 

日本が責任主体

長いのでどこを見ればいいのかよくわからないと思いますが、要は最後の部に書いてある「国がその損害を賠償する責に任ずる」という部分。

ここでいう「国」というのは「日本」のことですから、オスプレイが事故により住民や住宅に被害を与えた場合、「日本」が住民・住宅の被害を賠償する責任を負うということになります。

冒頭発言の真意?

冒頭に戻り、「パイロットは住宅、住民に被害を与えなかった。感謝されるべきだ」との発言。

住宅、住民に被害が出ると、誰かが、賠償しなければいけないのは当然。

ただ、民事特別法上、賠償の責任者は日本。

「日本よ、感謝しろよ。賠償責任発生しないぞ」

なるほど、冒頭の発言は、そういう趣旨の発言だとすると理解できますね(嫌味)。